主な業務紹介
◇相続 ③
◎養子縁組
☆養子縁組とは
・養子縁組とは、実の親子でない者同士が、法律の上で親子になることですね。これも契約
の一つです。
・したがって両者の合意の上で成立します。
・養子制度は、もともと、家父長制度維持のために、養子が親の面倒を見る、あるいは労働力補給のための制度でしたが、次第に子の利益を図る制度へと移行し、現在の民法の「養子縁組」として規定されています。
☆養子縁組の成立の要件
<養子縁組の成立の要件>
①養親は成人であること。ただし、既婚者である必要はありません。
(注)結婚すると未成年者でも成年者としての取り扱いとなるので、養親となれま
す。
②尊属や年長者を養子にはできません。
(注)尊属には、父母等の兄弟姉妹なども含むので、自分より年下であってもおじ、おばなどは養子にできません。
③結婚している者が養子縁組する場合、配偶者の同意が必要です。ただし、夫婦でともに養子縁組するときや夫婦の一方が意思表示できないときは、一方だけで養子縁組ができます。
④未成年者や成年被後見人を養子にするときは、結婚している人が未成年者を養子に
するときは、配偶者とともにすることが必要です。ただし、配偶者の嫡出子を養子
にするときや夫婦の一方が意思表示できないときは、必要ありません。
◎未成年者を養子にするときは、家庭裁判所の許可がいります。
(注)自分または配偶者の直系卑属を養子とするときはいりません。
◎未成年後見人(成年後見人)が、未成年被後見人(成年被後見人)を養子にする場合も家庭裁判所の許可がいります。
<養子縁組の取消し>
・養子縁組の届出がされても、「養子縁組の要件」が満たされていなければ、家庭裁判所に取り消しを請求することができます。
(注)なお、取消原因、取消権者、取消を請求することができる期間等は、民法に規定されています。
養子は養親の嫡出子
・養子縁組は、市区町村長に届出をし、受理されることで成立します。
・その日から、養子は、養親の嫡出子になります。
・原則として、養子は、養親の氏を称することになります。
(注)養子は、養親の相続人となりますが、実親の相続人にもなることができます。
☆離 縁
・養子縁組による養親子関係は、市区町村長に届出をして、解消することができます。⇒
離縁
(注)養親子は離縁できますが、血のつながった実親子関係の縁は、法律上切れません。
・協議離縁⇒養親と養子の話し合いによる離縁(養子が15才未満の場合、離縁後の法定代理人となる予定者との話し合いとなります。)
・裁判離縁⇒次の理由があるとき、離縁の訴えを起こすことができます。
①悪意で遺棄されたとき
②生死が3年以上明らかでないとき
③その他縁組を継続するのが困難な重大な事由があるとき
・離縁による効果としては、当然、養子は養親の嫡出子でなくなり、法定血族関係や姻族
関係は消滅します。また、養子は、縁組前の氏に戻ります。
☆特別養子縁組
・特別養子縁組は、「養子となる者と実方の血族との親族関係を消滅させ」、養子と養親及びその血族の間に、血族間と同じ親族関係を発生させる制度です。
・特別養子縁組の要件は、次の条件をすべて満たすことが必要です。
①養親は婚姻しており、夫婦がともに養親となること。
②養親が25歳に達していること(もう一方は20歳に達していればよい)
③養子は6歳未満であること。
④養子となる者の実の父母の同意があること。
以上の要件を満たしたうえで、家庭裁判所は特別養子縁組を成立させることがで
きます。
・普通の養子縁組とは違い、家庭裁判所が審判する制度であり、養親は実の父母になるということから、原則として離縁は認められていません。